慢性リンパ性白血病・症状・検査・治療

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慢性リンパ性白血病・症状・検査・類似疾患・原因・治療・病期分類



     
§1 慢性リンパ性白血病


     慢性リンパ性白血病は成熟型の増殖力の乏しい、小型のリンパ球が末梢血、骨髄、リンパ節、脾臓内で腫瘍性に

     増加する疾患で、比較的高齢者に見られ、女性より男性に多い傾向があります(男2:女1)。欧米では白血病

     の1/3を占めますが、アジアでは少なく日本でも同様です。多くはB細胞性で、まれにはT細胞性のものもあり

     ます。リンパ球にはT細胞とB細胞があり、B細胞が分化・成熟した形質細胞になります。通常はB細胞が抗体を

     産生すると表現されるが、実質的には形質細胞となって、大量の抗体を産生します。原因は良く分かっており

     ませんが、農業従事者、ゴム工場労働者、アスベスト労働者、タイヤの修理工に多いという報告もあります。






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§2 慢性リンパ性白血病の症状


     初期症状は希薄で、健康診断の血液検査で偶然発見されるケースが多く(リンパ球数増加)、診察時にリンパ節

     腫大が発見されることも多々有ります。疲れ易い、リンパ節腫大、感染(肺炎が多い)、体重の減少や脾臓が

     腫れる、などがあります。





     
§3 慢性リンパ性白血病の検査


     
§3−1 末梢血液〜骨髄/慢性リンパ性白血病/検査

        -末梢血中の異常リンパ球の模式図-
末梢血中のリンパ球数は正常で、4500

/μl 以下ですが、5000/μl 以上の

場合には慢性リンパ性白血病を疑う事

になります。

症例の多くは15000/μl 以上となって

おり、増加しているリンパ球は、正常に見

える。


異型細胞も少なく、小型の成熟したもの

が大多数です。病期の進行と共に、貧血

、血小板減少、好中球減少が出現してき

ます。

骨髄では一見正常に見える小型、成熟リンパ球は有核細胞の30%を占める状態となる。リンパ芽球は少ない。

免疫学的には慢性リンパ性白血病では、細胞表面の免疫グロブリンは正常や他の類縁疾患に比べ、減少してい

ます。

染色体は12番の異常が一番多く、13番、14番染色体の異常も確認されます。(13番染色体を播き込む

転座では切断点は13q14になる事がおおく、この箇所は癌抑制遺伝子であるRb(retinoblastoma)遺伝子があり

ます。

14番では切断点が14q32になる事が多く、この箇所は免疫グロブリンH鎖遺伝子があり、転座の相手は11番

染色体が多いとされます。



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§3−2 診断基準/慢性リンパ性白血病/検査


〇1に、2もしくは3が、加わった場合
〇リンパ球数が10000/μl 以下の場合は2と3の両方がある場合。
1 末梢血液中のリンパ級数は10000/μl 以上が持続し、その増加したリンパ球の大部分が成熟
  リンパ球の形態を持っている
2 骨髄塗抹標本で、有核細胞中リンパ球が30%以上を占める。 
3 末梢血液中の増加したリンパ球数が、モノクローナルなB細胞である事が証明される。
                                    by The International CLL Workshop (CLL;慢性リンパ性白血病)




     
関連検査値・基準値/慢性リンパ性白血病

     尿潜血赤血球数白血球数





     
§4 類似疾患/慢性リンパ性白血病


     
§4−1 感染症/慢性リンパ性白血病/類似疾患


     リンパ球増加を伴う結核の回復期、ウィルス感染などや、マラリア流行地での類似疾患(熱帯脾腫症候群/過剰

     反応型マラリア性脾腫)などは極めて似ている。




     
§4−2 悪性疾患/慢性リンパ性白血病/類似疾患



§4−2−1 B細胞性/慢性リンパ性白血病/類似疾患


前リンパ球性白血病、B細胞性脾ホジキンリンパ腫の白血化(

リンパ腫の腫瘍細胞が骨髄に浸潤、増殖しその腫瘍細胞が血液

中に出現)、B細胞ヘアリーセル白血病、ワルデンストレーム

・マクログロブリン血症などがあり、細胞形態や細胞表面マー

カーなどで鑑別されなければなりません。


     
§4−2−2 T細胞性/慢性リンパ性白血病/類似疾患


     前リンパ球性白血病、T細胞性の非ホジキンリンパ腫の白血化(成人T細胞性白血病、セザリー症候群、末梢型

     T細胞リンパ腫、大細胞型リンパ腫などの白血化など)、T細胞性ヘアリーセル白血病、大顆粒リンパ球性白血病

     なども鑑別される必要があります。



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§4−3 参考 リンパ節腫脹の原因


T 免疫機序及び炎症性
A 感染症;局所感染、全身感染
  結核、梅毒、伝染性単核球症(腺熱)、風疹、麻疹、流行性耳下腺炎、ネコひっかき症、真菌症、トキソ
   プラズマ症、ブルセラ症、ツツガムシ病、野兎病、鼠径リンパ肉芽腫症、軟性下疳、敗血症など
B 非感染抗原に対する免疫反応
  異種蛋白注射による血清病
  薬剤に対する反応;ジフェニルヒダントインなど
C 自己免疫疾患、膠原病
  SLE、慢性関節リウマチ、皮膚菌炎などの膠原病、自己免疫性貧血など
U 細網細胞の貪食機序
A 異物侵入;炭粉症、活性炭塵肺症、珪肺症、石炭肺症、綿肺症など
B 脂質代謝異常;ニーマン-ピック病、ゴーシェ病
V 腫瘍性あるいはその類縁疾患
A 原発性
  @悪性リンパ腫;ホジキン病、非ホジキンリンパ腫
  Aリンパ性白血病;ALL、CLL、成人T細胞白血病、セザリー症候群、ヘアリーセル白血病など
  Bマクログロブリン血症
  CH鎖病;α鎖病、ガンマ鎖病など
  Dヒストサイトーシスx;レッテラー-シーベ病、ハンド-シュラー-クリスチャン病
  Eその他;リンパ上皮腫
B 続発性
  @骨髄性白血病
  A骨髄増殖性症候群
  B癌、肉腫の転移
W 機序不明
A サルコイドーシス
B 内分泌疾患;甲状腺機能亢進症、アジソン病など

                                                         (
CLL 慢性リンパ性白血病)





     
§5 慢性リンパ性白血病の病期分類


     ライ分類とビネー分類により予後予測が可能になります。



     
§5−1 Rai分類/慢性リンパ性白血病

病期 修飾病期 臨床像 50%生存率
low risk リンパ球増多のみ >10年
T intermediate risk リンパ球増多+
リンパ節腫大
> 8年
U intermediate risk リンパ球増多+
脾腫+/−
リンパ節腫大
  6年
V high risk リンパ球増多+
貧血+/−
リンパ節腫大or脾腫
  2年
W high risk リンパ球増多+
貧血+/−
脾腫+/−
リンパ節腫大
  2年

                             貧血;ヘモグロビン11g/dl以下、血小板数100000/μl以下



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§5−2 Binet分類/慢性リンパ性白血病


病期 血流データ 病変部位 50%生存率
A ヘモグロビン10g/dl以上
血小板数100000/μl以上
3箇所未満 >10年
B ヘモグロビン10g/dl以上
血小板数100000/μl以上
3箇所以上   7年
C ヘモグロビン10g/dl以下or
血小板数100000/μl以下
幾つでも   2年





     
§6 治療/慢性リンパ性白血病


     
ライ分類でT、U期は経過観察になります。V、W期に進んだら治療する考え方で、薬物療法としては海外では

     アルキル化剤のクロラムブシルが用いられておりますが、国内では、入手が困難なため、シクロホスファミド

     採用されます。ステロイド併用も自己免疫症状があるときには採用されます。又、局所放射線療法もリンパ節

     腫大、脾腫には採用されます。リン酸フルダラビン(ATP類似物質/ATPのプロドラッグでATPに体内で変わり、

     CLLのリンパ球に取り込まれます。その後、取り込んだ細胞はDNAの代謝を阻害し、細胞を壊死に追い込む)は

     近年開発されて薬剤ですが慢性リンパ性白血病に有効とされています。






     * B細胞性/B細胞性はCD5陽性のB細胞で、健常の人ではこのリンパ球はリンパ節内の濾胞のマントルゾーンや

     末梢血液中に極わずかに存在します。




     * CD(cluster of differentiation)/細胞膜表面にある分化抗原のことで、この抗原を調べる事により、細胞の

     分化段階を知ることが出来ます。細胞表面の抗原に対するモノクローナル抗体を、(混乱を防ぐため同一の抗原

     に対する抗体を)ナンバリングして分別した。これが、現在では抗体が認識する抗原の名称として使われています。




     * マントル細胞/リンパ節濾胞の胚中心をとりまくマントル帯に由来する小型のB細胞







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